求められているのは「提案」です。

私はコンサルと呼ばれる人たちが嫌いだ。厳密に言うと、実力や経験もなく、知識や枠組みだけでコンサルをやろうとしている人たちが嫌いだ。

ベンダーAは問題ないと言っている。ベンダーBも問題ないと言っている。だが、現実には問題が発生している。その問題はベンダーAが対処すべきなのか、ベンダーBが対処すべきなのか、顧客からは切り分けできない。どっちが正しいか分からない状況で調査するのにも工数 (お金) がかかる。そんな状況の中で現実の問題だけが宙に浮いている。

お仕事の中ではちょくちょく遭遇するようなパターンだと思う。そんな中で担当のコンサルが言った言葉は、

この状況で求められているのは「提案」です。

間違っていない。コンサルという立場で顧客に接している人から見たら正しい。自分は関係ないと無視することもできる中で何かしら提案して問題解決に貢献しようという姿勢があって素晴らしいとも言える。

私はなんか違和感を感じていた。だから、私はコンサルが嫌いなんだと再認識した。

私から見ると、顧客が求めているのは「問題解決」だと思う。

提案という言葉の背景に自分は何もしないし、責任も取らないけど、アドバイスだけはするという、他人事の姿勢が垣間見えたような気がした。なぜ自分に調べさせてほしいと言わないのか。なぜ自分が解決へ向けての調査をすると言わないのか。

立派な武器がないと戦えないと思っているうちは、負けることはないけど、勝つこともない。

新卒研修のときに当時の講師が言っていた言葉をたまに思い出す。

この言葉は私のキャリアの中で大きな影響を与えた。これまで何度か転職したきたけど、できるから転職したんじゃなくて、できないことに挑戦するために転職してきた。その結果、できることが増えて、できないことへの挑戦に対する心理的不安は随分と減った。

いまはできない、けれどがんばっていればいつかできるようになるかもしれない。そういう楽観的な姿勢は経験に基づくもので、その実践が自信へとつながる。そして、最近思うのは、その先はたぶん自由につながっている気がする。

自分はどうやって社会に貢献するのか。その提案は他人にはできない自分だけのオリジナルなのか。その提案が本当に必要とされているのか。

お仕事だからポジショントークは必然だし、中途半端はしないとか、儲からないことはやらないといった主義も私は良いと思っている。ただ、本質的なところをポジショントークで語るようなコンサルとは、自分はなんとなくあわないなぁと思った。